目的とレベルに合った学習法

 それぞれの人に合った最適の英語の学習法というのは、個々の人が英語を学習する目的や、その人が到達している学習レベルによって、大きく変わってくるものである。

 例えば、ある人の英語を学習する目的が、イギリス文学の古典を原文ですらすらと読む事ができるようになるためだとしたら、その人が毎日せっせと英会話学校に通うことは、的はずれな学習を行っていることになる。

 それよりも、現代英語とは、綴り字や語彙や文法が異なる初期近代英語(Early Modern English;1500〜1700年頃)や中期英語(Middle English;1150〜1500年頃)の知識を身につけていったほうが、目標に到達するためにはるかに近い道を選んでいることになるだろう。

 また、英語を学習する目的が似通っているとしても、例えば、昨日今日学び始めた人と、もう十年以上学び続けている人とでは、その学習の仕方が異なってくるべきなのは言うまでもないことだと思う。

志向性による学習内容の違い

 英語を学習する目的がよく似ていても、志向性によって、適した学習内容に違いが出てくる場合がある。

 例えば、外国の人と自由にコミュニケーションをとれるようになりたいために英語を学習する人は多いと思うが、どこの国に目が向いているかによって、学習する内容は少し違ってくる。

 つまり、学びたいのは、アメリカ英語なのかイギリス英語なのか、またはオーストラリア英語なのか、というようなことである。

 英語が話されている国は多いが、それぞれの国の英語は、語彙・発音などにおいて、それぞれの特徴を持っている。

 だから、特に自分が学びたいと思っている国の英語を重点的に学ぶのがベストなわけである。教材選択の際、留意するようにするといいと思う。

 また、例えば同じアメリカ英語でも、フォーマルな(正式の、儀礼的な)英語を学びたいか、もしくはインフォーマルな(形式ばらない、会話体の)英語の知識を身に付けたいか、ということによっても、学習内容は変わってくる。

 フォーマルな英語を学習したい人は、英字新聞をすらすら読めたり、海外のニュース番組を聞き取れるようになることに目標を置くのが妥当であるし、インフォーマルな英語を志向する人は、日常会話の能力をつけたり、アメリカ映画を字幕なしで楽しめるようになることを目標にするべきである。

 実際、同じアメリカ英語でも、ニュースや新聞に使われる英語と、映画の中で話されている英語では、その内容だけでなく、使われている英単語の種類にも大きな違いがある。

 そうした違いをよく知った上で、自分が志向する英語は、どういう類のものかを自覚しながら学習を進めていくのが、効率的な学習をするためのコツとなる。

 以上、志向性による学習内容の違いを述べてきたが、このような志向性は、個人の好みによる場合が多いが、仕事や生活の上での必要に迫られて現れる場合もある。

学習目的と学習量の関係

 英語を学習する目的が何であるかによって、学習するべき量は当然変わってくる。

 例えば、将来、海外でビジネスマンとして活躍したいと考えている人などは、海外旅行に行った時に英語で買い物ができる程度、あるいは税関を無難に通過できる程度の会話力を身につけられればいいと考えている人よりは、学習量を多く見積もらなければならない。

 目標が高ければ高いほど、英語の学習に費やす時間を多くしなければならないし、より一生懸命努力しなければならないわけである。

自分のレベルに合った学習法を自分で見出す

 自分のレベルに合った学習をする、ということについてであるが、少なくとも小さい子供でもない限り、何が今の自分のレベルに合った学習かというのは大体わかるはずである。自分自身が感じる感覚を頼りに、選択することができる。

 すなわち、難し過ぎると思えるようなやり方や、その逆に簡単過ぎて物足りないような学習方法はやめておけばいいのである。

 教材に関しても、知らない単語など何ひとつなく、すらすらと読めたり聞き取れたり、楽々と和訳・英訳できるような内容の本や教材は、能力向上にあまり役立たず、学習意欲をそぐ原因にもなるので、避けるべきである。

 そして逆に、未習の単語が次々と現れ、ほんの少しの部分を理解するのにも時間がたくさんかかるような本や教材も、難し過ぎるものとして、避けるべきなのである。

 自分の現在のレベルよりも少し難易度の高いやり方や教材を選択すれば、最も効率的に能力を高められるし、学習動機も維持しやすい。

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英語の学習法・概説(目次)